みなみ事務所からのお知らせ

親権喪失規定(民法)の改正案

民法には「親権喪失宣告」の規定があります(834条)。条文どおりに言いますと、親権者が親権を濫用したり、著しい不行跡がある場合に、子の親族または検察官、児童相談所長(児童福祉法33条の6)の請求によって、家庭裁判所がその親権者の親権の喪失を宣告することができるというものです。その結果、親権者がいなくなるときは、未成年後見人を選任します。


親権の濫用というのは、典型的には、子を虐待したり、度を越した(躾と称する)懲戒をしたり、児童福祉法で禁じている職業に就かせたり、長期間にわたり子を放置すること(以上は、身上監護権の濫用)、あるいは子の財産を勝手に使ったり、子の名義で多額の借金を負わせること(以上は、財産管理権の濫用)です。また、著しい不行跡があるとは、親なのに全く働かない、酒・賭事・異性関係に耽るなど、甚だしく素行が不良であることを指します。


親権喪失宣告は子に対する親の権限を一切剥奪する措置であり、戸籍にも記載されるため、親族はその親から逆恨みされることを恐れ、また、後の面倒を嫌って、なかなか申立てをして後見人になろうとはしませんし、児童相談所長もその親と敵対関係になるのを避けようとします。結局、めったに宣告申立てがなされることはありません。裁判官も宣告には消極的な傾向にあり、ここ数年の申立ては100件前後、親権喪失宣告の認容は20件以下だということです。


そこで近年、法制審議会の担当部会において、親権を喪失するほか、一時的に停止する制度を導入する方向の検討がなされてきました。今日(12月16日)の朝刊各紙が1面で報じているのは、この検討の結果が「児童虐待防止のための親権制度見直し要綱案」としてとりまとめられ、来年2月に法務大臣に答申する見通しとなったというものです。


民法に限っても、法律の条文にはあっても実際の例がほとんどないというものがいくつもあります。この親権喪失宣告制度もそうですが、「秘密証書遺言」(970条)もその一つです。遺言の意識が高まり、遺言件数は年々増加していますが、それでも秘密証書遺言の件数は全国で年間に100件をすこし超える程度のようです。無視できるほどの極端に少ない数だといえるでしょう。「中途半端」というのが嫌われる理由のようですが、私から見ると、活用の仕方次第では非常に便利で有用な方式のように思われます。


カテゴリー: 家事事件関係 — 2010 年 12 月 16 日12:47 PM
最近の投稿
カレンダー
2010年12月
« 11月   1月 »
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
アーカイブ
カテゴリー